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これまで生きてきた内でも、三本指に入るほど衝撃的な目覚めだった。 カーテンのない窓から容赦なく差し込む朝日によって夢の世界から引きずり戻された俺は、ほんの数秒のブランクの後で、そこが自室のベッドの上でないことに気づいた。 そしてその直後、自分のすぐ傍らで、眼鏡をかけたまま寝息を立てている長門の存在に気づいた。 「おい、長門」 「ん……」 俺が肩に手を置いて揺さぶりを掛けると、長門はすこし苦しそうに顔をしかめた後、ゆっくりと瞼を開け、やがて、ずれた眼鏡越しに俺の顔を見て、驚愕の表情を浮かべた。 「キョン……君?」 「悪い、あのまま寝ちまってたみたいで」 長門は、何がおきているのか分からない。と言った様子でしばらく硬直した後、ようやく現状を把握したのか、あわてて体を起こし、ずれた眼鏡を掛けなおし、制服の乱れを直した。 「あ、朝倉さんは?」 「いや……わからん、帰ったんじゃないのか?」 この時点で、何かおかしいとは思ったのだ。 長門の部屋に眠った俺を残したまま、朝倉が自分だけ先に帰ってしまうなどということがありえるだろうか。 「時間……いま、何時?」 長門に尋ねられ、俺は自分の携帯電話を見る。 HRが始まるまでは、まだ小一時間ほどある。焦らなければいけない時間ではないが、あまりのんびりもしていられない。 ついでに、母親からのメールが山ほど届いていた。そういえば、帰りが遅くなると伝えておくのを忘れていたかもしれない。 もっとも、実際には遅くなるどころの騒ぎではなく、一晩中長門の家にいたのだから、報告を忘れずにしてあったとしても、怒りのメールは届いていたのだろうが。 「長門。朝倉とは、いつもどうしてるんだ?」 「えっと……日直も何も無ければ、いつもエレベーターの前で、待ち合わせ……」 「時間は」 「あと十分くらい」 幸いなことに、お互い制服を着込んだままだ。間に合うだろうか。 「長門、身だしなみに必要な時間は」 「え、ええっと……そんなには」 「じゃ、悪いけど、急いでくれ」 他人の家で勝手に夜を明かしておいて、俺は何を偉そうに振舞っているのだろうか。 この時俺は、何故だかわからない不安に襲われていた。 俺が眠っている間に、俺のいるこの世界が、俺の知らない世界へと変えられてしまったような気がする。 何故そんな事を思いついたのかは分からない。 ただ、一つだけ分かること。 朝倉に会いたかった。 朝倉に会えば、全ての悪い予感が、どこかへ消えてくれるような気がした。 俺は忙しなく髪の毛を整える長門を急かしながら、ドアのロックを解除し、マンションの廊下へと飛び出した。 大気はいつものように冷え切っている。少なくとも、世界が突然真夏に変わってしまったりはしていないらしい。 早足でエレベーターに乗り込み、長門が追いつくのを待ってから、一階のボタンを押す。 「……」 長門はすこし困ったような表情で、俺の顔を見つめている。 俺は多分、一月前、(この長門にとっては)初めて文芸部室を訪れたときと似たような顔をしているのだろう。 実際、俺の胸のうちは、あの時と同じような濁り具合をしていた。 俺はただ闇雲に、自分を安心させる、自分の予想を裏切らない何かを求めていた。 程なくして、階数を示す電光表示が一階を示し、俺たちの目の前で、重たい機械の扉が開く。 埃の匂いを洗うように、冬の大気の匂いが、俺と長門を包む空気を塗り替えてゆく。 薄暗く冷え切ったマンションのロビーに……朝倉の姿は、無かった。 「……長門、時間は」 「えと」 俺の言葉に、長門は鞄の中から携帯電話を取り出し、その画面を見つめる。 「……丁度、いま」 「あいつが遅れること、あったか?」 「今までは、一度も……」 長門の言葉を聞き終わらないうちに、俺は立った今閉じたばかりの扉に向き直り、脇の壁に取り付けられているボタンを乱暴に押した。 俺の胸の中で、自分には押さえようのない熱のようなものが膨れ上がってゆくのが分かる。 何度も何度もボタンに指を叩きつけるが、たった今去ったばかりのエレベーターは、すぐには戻ってきてはくれない。 「畜生!」 乱心する俺を呆然と見つめていた長門が、俺の絶叫と同時に、びくりと体を震わせたのが、視界の端に写る。 長門はまた、あの、得体の知れないものを見つめるような目で、俺を見ているだろうか。 ――ああ、違う。違うんだ。俺はおかしくなったわけじゃないんだ。 駆け出した俺に向けて、長門が何かを叫びかけたような気がしたが、立ち止まることは出来なかった。 エレベーターに見捨てられた俺は、傍らから伸びていた階段を、数段飛ばしで駆け上がる。一階。二階。三階。朝倉の部屋は何階だったか。五階だ。以前、一度訪れたことがある。 うっかりしていると、目的の階を飛ばして、そのままどこまでも駆け上がって行ってしまいそうだ。俺の意思とはほとんど無関係に階段を上る両足をなんとか制し、五階の廊下へと駆け込む。 朝だというのにやかましく足音を鳴らして廊下を駆け抜け、目的の五〇五号室にたどり着いたときには、俺はもう全身に汗をかいていた。 「朝倉!」 インターフォンという文明の利器を忘れてしまったのか、俺は冷たいドアにいきなり拳を叩きつけながら 痛む喉を扱くようにして、その名前を呼んだ。 頼む。出てきてくれ。 お前がいてくれたら、安心できるんだ。 朝倉。 「朝倉、あさ……」 「だめ!」 頭上から声がしたと同時に。五〇五号室のドアに張り付く俺の体が、後方に引き戻される。首の後ろで、布の繊維が千切れるような、ブチブチという音が聞こえ、喉に奇妙な痛みが走った。 「きゃあっ!」 引っ張られるまま、後ろ向きにバランスを崩した俺は、背後にいた誰か――濁すまでもない。俺を追いかけてきてくれた長門だ――を巻き込んで、仰向けに倒れこんでしまった。 俺の背中とコンクリートの地面の間で、寒気がするほどに暖かくやわらかい長門の体が押しつぶされているのが分かる。 「すっ、すまん……」 あわてて体を起こし、倒れた長門の体を起こす。 俺を追いかけて、階段を駆け上がってきたのだろう。長門は荒く呼吸をしており、両肩は忙しなく上下していた。 「……もしかしたら、先に学校に言ったのかもしれない」 しばらくインターフォンを鳴らした後で、長門は俺を振り返り、そう言った。 そうだ、学校だ。携帯電話を見ると、時間に余裕などは、全くと言っていいほど失われてしまっている。 当たり前だ。俺の乱心によって、どれだけの時間がロスされてしまっただろうか。 俺が黙っていると、やがて長門は、カーデガンに付着した土ぼこりを両手で払い、地面に落ちたままになっていた学生鞄を拾い上げ、エレベーターに向かって歩き出した。 ◆ 長門と共に歩く通学路には、一月前、始めて(今の)長門の部屋を訪れた時の帰り道と同様に、会話というものが存在しなかった。 俺はただ無言で、長門の小さな背中のななめ後ろを歩きながら、何かしらのあきらめのようなものを憶えていた。 ……そうだよな。このまま何も起きないわけがないよな。 俺は声には出さず、心の中で呟く。 考えても見れば。俺は別に、今の日常がこのまま続いてゆくことを望んでいたわけではなかった。 この日常―――感情豊かな長門有希と、以前よりもすこし感情的な朝倉涼子と共にすごす日常だ――は、あくまでもかりそめの時間でしかないのだ。 いつか消え去ることは、はじめから決まっていた、うたかたの世界。そして、俺は一刻も早く、そこから抜け出すことを望んでいたはずなのだ。 朝倉涼子の消失。 それは俺が待ち望んでいた、状況の転化ではないか。 長門は時折、黙り込む俺を案ずるかのように、肩越しに俺の顔をちらりと見ては、再び前方に向き直った。 そう―――この長門も同じだ。 この世界に、正しいものなど一つとしてないのだ。 ◆ 俺たちが学校にたどり着いたとき、すでにHRの時間は過ぎており、校内は一間目の授業の最中だった。 俺は数学の教師の小言を浴びながら入室し、いつもの窓際の席に腰を下ろす。 俺の席の後ろに、朝倉涼子の姿は無かった。鞄が掛けられている様子もない。 はじめから朝倉涼子などはこの世に存在しなかったように、朝倉涼子を示すあらゆる要素が、俺の前から姿を消していた。 それでいい。俺は思った。 俺の知る世界には、朝倉涼子など、存在しないのだから。 ◆ 二間目と三間目の間の休み時間に、長門からのメールが届いた。 長門は朝倉にメールを送ってみたが、返信は得られなかった。とのことだ。 俺はそれに対する返信の文面をしばらく考えてみた。が、適当な言葉が見つからず、返信をすることをやめてしまった。 もはや俺にとって、朝倉がどこに消えてしまったかなど、どうだってかまわないことなのだから。 俺は歴史の教師の言葉を聞き流しながら、これから何をするべきかを考える。 朝倉涼子が消えた。それは、一見、とても重要な出来事のように思える。 が……考えてみれば、朝倉が消えたことで、一体何が変わるというのだろうか。 世界は此れまでどおり。ハルヒは居ない、古泉も居ない。長門はああだし、朝比奈さんもあの調子。 ……結局、何も変わらないのではないだろうか。 待てばいい。 俺はその結論に到達した。 探せるものは、一月前に一通り探した。俺にわかることは何一つない。 俺にできることといえば、あとはただ、待つだけだ。 俺がこの世界にやってきてから一月が経ち、朝倉が消えたように。 何かが起こるまで、待ちつづけるしかないのだ。 ◆ 動き出しさえすれば、物事が進むのは早いものだ。 その日の昼休み。この世界からもう一人、俺の知る人物が消えた。 そいつ顔を最後に見たのは、一月前の十二月十七日。 その日を最後に、そいつは俺の前から姿を消した。 そして、今。俺の知らないどこかで、俺の知らない誰かの手によって。 そいつは、この世界から消えた。 ◆ 「……キョン、聴いたかい?」 昼休み。意識を宙ぶらりんにしたまま、延々と無駄な時間をすごしていた俺に声を掛けたのは、国木田だ。 いつもは気の抜けた微笑を浮かべている端正な顔面に、今日は何故だか、イヤにこわばった真顔が貼りついている。 「どうした、校内にV6のロケでも来たってのか」 「聞いてないの? 嘘だろ、さっきからみんな、その話ばっかりなのに」 国木田は俺の無知をあざ笑うように、大げさに驚いた後、顔を近づけ、囁くように言った。 「今朝、光陽園の生徒の死体が見つかったんだって」 「死体だ? なんだ、心臓麻痺か?」 「ううん、殺されたんだって。どうも、ナイフで刺し殺されてるって」 突然の展開に、俺は話についていけきれなかった。 光陽園高校。聞き覚えのあるその名前は、隣町に舎を構える、お嬢様系の女子高の事だ。 そこの生徒が、殺された。 「何、なんだ? 殺人だって? 光陽園で?」 俺と国木田の会話を聴きつけたのか、離れた席で食事をしていた谷口が、目を丸くして割り込んでくる。 「通り魔か何かかよ? おいおい、冗談じゃねえぞ。で、誰が殺されたんだ?」 「いや、さすがに、一人殺されただけで通り魔とは決められないと思うけど……」 国木田は困り顔を浮かべながら、手に持った携帯電話のモニタを見つめている。 「これ、言っていいのかな。殺された生徒の名前……確かな情報かどうか、わかんないんだけど」 そう呟いた国木田は、俺と谷口の顔を見比べた後、まあ、もうみんなに知れちゃってるよね。と、ため息混じりに呟いた。 そして、次の瞬間。 その名前を、口にした。 「光陽園学院一年の、涼宮ハルヒさん」 つづく
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長門「………もち巾着」 長門「………今日の夕食はおでん」 長門「………♪」 長門「………私は長門有希」 長門「………あ」 朝倉「あら。お久しぶりね」 長門「………ひさしぶり」 朝倉「お元気そうね。どう? あのSOS団とかいう集団とは、その後も仲良くやってるかしら?」 長門「………もち巾着」 朝倉「……そう」 長門「………そう」 朝倉「……もち巾着なの」 長門「………もち巾着」 長門「………なぜあなたがここに」 朝倉「ふふふ。驚いた? そうよね。1年近く前に情報連結を解除された自分のバックアップが、こうしてまた有機生命体として存在しているんだものね」 長門「………あなたの目的は何」 朝倉「そう質問してくると思ったわ。でも安心してくれていいわよ。私の目的は彼の命ではないんだから」 長門「………」 朝倉「疑ってるの? じゃあ情報統合思念体にアクセスしてみるといいわ。私がキョンくんの命を狙って復活したわけではないことを確認すれば?」 長門「………本当に?」 朝倉「嘘なんてつかないわ。彼を狙ったところで、どうせまたあなたに阻止されるだけだもの。成功確率の低い行動を優先するなんて合理的じゃないでしょ?」 長門「………ならいい」 朝倉「私の目的はただひとつ」 長門「………来て」 朝倉「え? 場所をかえるの? どこに行くのかしら?」 長門「………私のマンション」 朝倉「まあ長い話になるかもしれないし。ゆっくりお茶でも飲みながらっていうのも悪くないわね」 長門「………あなたは、ダシを取る係り」 朝倉「……だし?」 長門「………そう。私はご飯を炊く係り」 朝倉「あの、長門さん? 話がみえないんですけど」 長門「………喜緑江美里は野菜を切る係り。準備は万端」 朝倉「だから、何の話なの?」 長門「………もち巾着」 朝倉「……ああ。おでん」 長門「………そう」 朝倉「……そうなの」 ~~~~~ 長門「………もぐもぐ」 朝倉「ほら、長門さん。ちゃんと口元ふいて。汁がたれるわよ」 喜緑「朝倉さん、ご飯のおかわりをよそっていただけるかしら」 朝倉「それくらい自分でしてよ。はい」 喜緑「ありがとうございます」 朝倉「だめよ、ご飯ばかり食べちゃ。ご飯とおかずを交互に食べないと。効率が悪いでしょう」 喜緑「ご飯を食べていると、ついついご飯ばかり食べてしまうの。ご飯もおかずも同時に食べられるなんて、朝倉さんは器用ね」 長門「………もぐもぐ」 朝倉「長門さん、はんぺんとかもち巾着ばかり食べてちゃダメよ。ちゃんと野菜も食べないと。はい、大根」 長門「………いや」 長門「………もぐもぐ」 喜緑「まあまあ、朝倉さん。いいじゃありませんか、野菜を食べないくらいでそんなにかりかりしなくても」 長門「………朝倉涼子はもっと喜緑江美里をみならうべき」 喜緑「うふふ。長門さんったら」 朝倉「こいつら……」 朝倉「ま、まあいいわ」 朝倉「私はね、あなたたちと仲良くおでんをつつくために還ってきたわけじゃないの」 長門「………醤油をとって」 喜緑「はい、どうぞ」 朝倉「私はね。涼宮ハルヒの情報観測をのんびり見守るあなたたちに愛想つかした急進派から、ある特命を帯びて再派遣されたのよ」 長門「………喜緑江美里はおでんにからしをつける派?」 喜緑「私は辛い物が苦手なので、からしはつけませんわ」 朝倉「涼宮ハルヒの情報観測を阻害する存在、谷口を抹殺するためにやってきたのよ!」 長門「………からしをつければ、味のアクセントが強調されて食が進む」 喜緑「でも、辛い物を食べると舌や唇が痛くなって、熱いお料理が食べられなくなるじゃないですか」 朝倉「進化の可能性の幅を広げる涼宮ハルヒに精神的ストレスを与えてそのチャンスを奪う存在、下衆谷口。あれがいなくなれば、より効果的に情報が収集できるのよ!」 長門「………このすり身おいしい」 喜緑「朝倉さんの作ったダシ汁がよくしみているんですね。とてもおいしいですわ」 朝倉「ちょっと2人とも。さっきから熱弁している私を無視して何を淡々とおでん食べているのよ」 長門「………無視とは心外。ちゃんとあなたの話は片手間に聞いている」 朝倉「片手間に!?」 喜緑「長門さんの言うとおりですわ。私たちは、朝倉さんのお話を聞いていなかったわけではないのですよ? ただ単に興味がなかっただけなのですのよ」 朝倉「興味がなかっただけ!?」 長門「………まあまあ。落ち込まないで」 朝倉「……落ち込んでなんかいないわよ。私は冷徹な殺人マシーンなんだから」 長門「………自虐的になるのはよくない。そんな時は、この料理」 朝倉「おでん食べてもこの不愉快感は……って、鍋に大根しか残っていないじゃない!? 私まだこんにゃくしか食べてないのよ!? これじゃただの大根の煮物じゃない!」 喜緑「まあまあ。そう言わず。朝倉さんの作ったダシはとてもおいしいですよ。騙されたと思って召し上がってごらんなさいな」 朝倉「騙されたと思って!? 誰が栄養配分にまで気を配って作ったと思ってるのよ!」 長門「………今夜は朝倉涼子との、実に一年ぶりの再会を祝しての食事会。大らかな心で許してほしい」 朝倉「私との再会を祝した食事会? ダシ係に命じただけでなく、食器配膳係やご飯をよそう係、お茶くみ係、挙句の果てにカセットコンロに点火する係やテレビのチャンネルを変える係まで私に押し付けておいて、私との再会を祝う!?」 長門「………そう」 朝倉「そう、じゃないわよ! あなた私のことを馬鹿にしてるんでしょ? ねえ、そうでしょ!? 人畜無害な女の子みたいな涼しい顔してるくせに、腹の底では実力で劣る私を見下してからかってるんでしょ!? 分かってるわよ、それくらいこと! そうならそうとはっきり言いなさいよ!」 長門「………そうじゃない」 朝倉「そうじゃない!? だったらどうだって言うのよ! なんのつもりで私をからかって遊んでるのよ!」 喜緑「ちょっと待って、朝倉さん」 長門「………」 朝倉「黙ってちゃ分からないわよ! なんとか言いなさいよ、この厚顔無恥な主流派め!」 喜緑「朝倉さん!」 朝倉「!? な、なによ……」 喜緑「ご飯おかわりです。よそってくださいな」 朝倉「……空気よめ」 長門「………怒らないで」 朝倉「怒らないで? 誰のせいで怒るはめになったと思ってるのよ!」 長門「………そんな時は、これでも食べて落ち着いて。はい大根」 朝倉「いらないって言ってるでしょ!」 パシッ 長門「………あ……」 喜緑「お大根が……」 朝倉「ちゃんと真面目に話を聞きなさいよ」 長門「………」 長門「………頑張って、野菜切ったのに……」 長門「………ぅうう」 ダッ 喜緑「あ、待って長門さん!?」 朝倉「な、なによ。大根をたたき落としたくらいで。泣きたいのはこっちよ」 喜緑「朝倉さん」 朝倉「な、なに?」 喜緑「ちょっとそこに座りなさい」 朝倉「最初から座ってるんですけど」 喜緑「口答えするんじゃありません」 朝倉「いや、口答えじゃなくて。もう座ってるんですけど」 喜緑「朝倉さん。あなたは長門さんのお姉さんでしょ? もっと寛大な心で接してあげないといけませんよ」 朝倉「私の方が年下なんだけど。外見的には判断できなかもしれないけど、長門さんが長女なのよ」 喜緑「そんな言い訳は聞きたくありません」 朝倉「言い訳を聞きたくないんじゃなくて、あなたが自分に対する反対意見を聞きたくないだけじゃない」 喜緑「姉として、妹の言うことはちゃんと聞いてください」 朝倉「このタイミングで開き直らないでよ」 喜緑「確かに長門さんは感情の起伏を表に出さない人だから気づきづらかったかもしれないけれど。でも彼女は、本当はあなたが帰ってきて喜んでいたのよ?」 朝倉「まさか……」 喜緑「本当よ。確かにあなたに対して冷たく当たっていたかもしれません。いじわるなことをしたかもしれません。でも、それは愛情の裏返しなの。嬉しくて、ついついやっちゃった、そんなかわいらしい子ども心なのよ」 朝倉「………」 喜緑「長門さんだけじゃないわ。私だって嬉しかったわ」 朝倉「喜緑さん……」 喜緑「本当に嬉しかった。久しぶりにカレー以外の物が食べられたんですもの。あなたが帰ってきてくれたおかげで、久しぶりにご馳走が食べられた」 朝倉「長門さんよりあなたの方がたちが悪いわね……」 喜緑「あなたには分からないのよ。お料理のできない長門さんは、カレー以外のものを食べたくなっても作ることができない。だから仕方なくレトルトカレーに走ってしまう。それがあなたに責められて?」 朝倉「責めることはできないけれど……じゃあ、あなたが作ってあげなさいよ」 喜緑「もちろん私だって長門さんの力になってあげたかったわ。でもできないのよ。私には」 朝倉「……穏健派は、見守ることしか許可されていないから、かしら?」 喜緑「私はハヤシライスしか作れないの」 朝倉「最悪の組み合わせじゃない」 ~~~~~ 朝倉「あの……長門さん……?」 長門「………」 朝倉「………」 朝倉「ほら。いつまでも押入れに立てこもってないで。出てきなさいよ」 長門「………やだ」 朝倉「はあ……」 朝倉「悪かったわよ。怒ったりして。謝るから、許してよ。仲直りしましょ? だから、そこから出てきてよ」 長門「………うそ」 朝倉「本当よ。なんなら、情報統合思念体にアクセスしてみたら?」 長門「………」 長門「………」 ガラ 朝倉「やっと出てきた」 長門「………」 朝倉「ごめんね。ちょっと頭に血が上っちゃったわ。インターフェースらしくもなかったわ。反省してる」 長門「………」 フルフル 長門「………ちがう」 朝倉「え?」 長門「………ちがう。謝らないといけないのは、あなたじゃない。私の方」 朝倉「長門さん……」 長門「………ごめんなさい」 朝倉「……ううん。いいのよ。やっぱり悪いのは私。長門さんは何も悪くない。私が短気だっただけのこと」 長門「………ちがう。ちがう、ちがう。私がいじわるしたから。だから、朝倉涼子が怒ってしまった。私が悪い」 朝倉「そう」 朝倉「長門さんは、私が怒ったこと、許してくれる?」 長門「………うん」 朝倉「よかった。私も、長門さんが私にいじわるしたことを許してあげる」 朝倉「これでおあいこ」 長門「………うん」 ~~~~~ 朝倉「きれい。1年ぶりだけど、やっぱり屋上からの景色は変わっていないわね」 長門「………ここにいると、自分がインターフェースであることなど忘れてしまいそうになる」 朝倉「本当に」 長門「………」 朝倉「………」 長門「………あなたは、行くの?」 朝倉「うん。それが、私が還ってきた理由だから」 長門「………そう」 朝倉「うん」 長門「………また、一緒におでんを食べよう」 朝倉「うん」 長門「………谷口を刺したら、またここに帰ってきて」 朝倉「もちろん。谷口を刺し終えたら」 長門「………」 朝倉「………」 朝倉「今度は、どんなご馳走を作ってくれるのかしら?」 長門「………今度?」 朝倉「そうよ。今日は私、結局こんにゃくしか食べてないんだもの。食事会なんて呼べるものじゃなかったでしょ?」 朝倉「だから、今度こそ。おいしいご馳走でお出迎えしてよ」 長門「………私のレパートリーはカレーとおでんだけ」 朝倉「料理のレパートリー2つしかないの? なによ、そんなんじゃ彼のハートは射止められないよ」 長門「………大きなお世話」 朝倉「あら。怒った?」 長門「………別に」 朝倉「今度は、私が作ってあげる」 朝倉「日頃食生活に偏りのあるあなたたちのために、私が腕によりをかけてご馳走を用意してあげるわよ」 長門「………本当?」 朝倉「もちろん! 長門さんにもお料理を教えてあげるから。ちゃんとお勉強するのよ?」 長門「………する」 喜緑「お話は終わったかしら?」 朝倉「うん。あなたにも悪いことしたわね。怒鳴ったりして」 喜緑「いいえ。結構ですわ。それより」 朝倉「ん?」 喜緑「私のおかわりはいつになったよそってもらえるのでしょうか」 朝倉「空気よめ」 長門「………応援している。がんばって」 朝倉「ええ。絶対に谷口の息の根をとめてくるわ!」 ~~その頃、谷口は~~ 谷口「ふひふひひ」 谷口「この漫画おもしれ」 谷口「ほっほほほほ」 谷口「うへ? おほ、やべえwwww」 谷口「屁が出るぞぉ! 屁が出るぞぉ!」 谷口「放屁注意報発令でござる!」 谷口「スリー! トゥー! ワン!」 谷口「チューリッ!」 プゥ 谷口「………」 谷口「……………」 谷口「……………………やべえ」 谷口「実まで出ちゃった……」 もらしていた。 つづく
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プロローグ 第1話~a Re-Birth in the Best Dream~ 第2話~Selfish Desire~ 第3話~False Happiness~ 第4話~a Farewell in the Worst Nightmare~ 第5話~then...Happy End?~ エピローグ ※朝倉×キョン(←ハルヒ)のSSです。 一部『~分裂』のネタバレありなので注意。 本編とプロローグ、エピローグあわせて全7話構成になる予定。 甘さひかえめ、かといってビターなわけでもなし。 ヤンデレ・ツンデレ分は皆無です。 萌えはありませんが、時々燃え(バトル)描写ありかも。
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キョン「……朝倉、これ…」 朝倉「えっ…?」 キョン「メリークリスマス(ニコッ)」 朝倉「あ……」 キョン「開けてみろよ」 朝倉「……うん」(パカッ) キョン「サイズは多分合ってると思う」 朝倉「これは、指輪?」 キョン「あぁ、これを左手の薬指にはめてくれるか?」 朝倉「それって……プロポーズ?」 キョン「そういう意味で送ったんだがな、はは……………朝倉、結婚しよう」 朝倉「キョン君……」 ・ ・ ・ ・ ・ チュンチュン…… 朝倉「(ガバッ!!)……ゆ、め……?……キョンくん」 朝倉涼子のグサデレ ~クリスマス編~ 第1話 第2話 朝倉「ふぅ……」 キョン「朝から浮かない顔だな、どうした?」 朝倉「ちょっとね…(あなたが夢なんかに出てきたからよ……)」 キョン「そうか…あっ、そうだ朝倉」 朝倉「ん、なぁに?」 キョン「クリスマス」 朝倉「(ドキッ!?)」 キョン「ケーキってホールを一人で食えると思うか?あれを一人で食べるのには 憧れるよな」 朝倉「…そ、それはちょっと多いんじゃない?」 キョン「やっぱり多いか…それでクリスマス」 朝倉「(ドキッ!?)」 キョン「ツリーって松の木じゃ代用できないか?」 朝倉「………それはちょっと無理があるんじゃない?」 キョン「そうか……で、クリスマs」 朝倉「もうっ!!しつこいわね!!なんなのさっきからクリスマスクリスマスって!勝手に一人でパーティでもしてればいいじゃない!!」 キョン「な、なに怒ってるんだよ」 朝倉「うるさいわね、あたしは今日虫の居所が悪いの!だから…じゃ死んで♪」 キョン「ちょww怒ってるからって殺すなwww」 朝倉「あなたがあまりにしつこいからよ」 キョン「(やっぱり刺されないと始まらない…はぁはぁ)グフッ」 第3話 キョン「朝倉はクリスマスどうやって過ごすんだ?」 朝倉「そうねぇ、うちで一人寂しくすごしてみようかしら」 キョン「そんな悲しいこというなよ」 朝倉「ふふ、ちなみにキョン君は?」 キョン「俺は、そうだな…このままだと家族団欒のクリスマスが待っているな」 朝倉「あら、素敵じゃない」 キョン「しかし、高校生になってまで家族と過ごすのもなぁ」 朝倉「仲が良いのは素敵なことよ♪……でもまぁ、誰か他の人と過ごしたいなら…あたs」 ハルヒ「キョン!!今年のクリスマスは部室で鍋よ!!ちゃんと予定を空けておきなさいよ!?」 キョン「今年もか?」 ハルヒ「文句は言わせないわ!じゃああたしは部室に先に行ってるわ」 キョン「やれやれ」 朝倉「……よかったわね、予定ができて」 キョン「何一つうれしくないがな。朝倉、さっき何を言いかけたんだ?」 朝倉「え?……あぁ、なんでもないの……」 キョン「よかったら朝倉も参加するか?」 朝倉「あ、あたしは遠慮しておくわ。あたしなんか団員でもなんでもないんだもの……」 キョン「気にすることないと思うぞ。あいつらも喜ぶだろうしな」 朝倉「ほんと大丈夫だから。キョン君だけで楽しんできたらいいわよ。ね?」 キョン「そうか………あ、じゃあ俺はあと部室に行くよ。もたもたしてたらまた ハルヒにどやされちまう。じゃあな朝倉」 朝倉「うん……ばいばい」 朝倉「くすん……」 第4話 朝倉「くすん……ひっく…」 ?「あらあら、そんなに泣いてしまってはせっかくのかわいい顔も台無しですよ?」 朝倉「え…?」 喜緑「ね?これで涙をふいてください」 朝倉「う、うん…ひっく…ありがとう」 喜緑「何かあったんですか?」 朝倉「……」 喜緑「ふぅ…彼に何か言われたんですか?」 朝倉「別にそんなんじゃないわ…(ぷいっ)」 喜緑「強がっていては何も進展しませんよ?あなたはいつも強がってばかりなんだから…」 朝倉「…」 喜緑「…」 朝倉「ぅ……ひっく、だって、だってキョン君が…キョン君がぁっ……ひっぐ、ひぐ…」 喜緑「よしよし…」 朝倉「い、今までずっと…ひぐ、一緒にいたのに……春も、夏も…秋も…えっぐ……」 喜緑「うんうん……」 朝倉「だから、キョン君と…ぐすっ、一緒に…ク、クリスマス…過ごしたかったのにぃ……うっ…」 喜緑「……」 朝倉「っく、あたし、どうしたらいいのかな……?」 喜緑「今からでも遅くはありませんよ」 朝倉「ほんと?」 喜緑「彼の気持ちがまだあなたのほうに残っているなら、もしかしたら…」 朝倉「でも」 喜緑「『でも』なんて言ってたらあなたは絶対後悔しますよ」 朝倉「……うん、そうね。あたしがんばってみるわ」 喜緑「涙も止まったようですし、もう彼を追いかけられますね?」 朝倉「えぇ。ありがとう」ダッ 喜緑「ふふ……」 第5話 ガチャ 朝倉「キョン君はいる!?」 ハルヒ「な、なによ!あんたいきなり人の部室に入ってきて!!」 朝倉「キョン君は!?」 みくる「キョンくんは1人でおでかけしましゅたよ?」 朝倉「え!?」 ハルヒ「さっき、クリスマス用の買い物に行かせたのよ。買い物が済んだら帰宅しても良いって言ってあるから今日はもう部室に来ないと思うわよ」 朝倉「そんな……どこに買い物へ行ったの?」 ハルヒ「そんなの部員じゃないやつに言うはずないじゃない」 朝倉「ッ!……そ、そうよね…ごめんなさい。じゃ、あたし帰るわね、勝手に入ってきて本当ごめんなさい」 ハルヒ「わかればいーのよ。」 朝倉「…」ガチャ 朝倉「ふぅ、どうしよう…」 ガチャ みくる「(キョンくんなら商店街に行きましゅたよ)」 朝倉「え?」 みくる「(しぃー…ふふふ、しゅじゅみやしゃんには内緒でしゅよ?がんばってくだしゃいね)」 朝倉「ありがとう。え、えーっと……空気の人!!」ダッ みくる「ふふ、わざわざ教えてあげたのに空気の人でしゅか。ふふふ…」 第6話 商店街 朝倉「キョン君、どこにいるの?」 朝倉「キョン君…」 キョン「朝倉じゃないか、こんなところでなにやってるんだ?」 朝倉「ひっ!」 キョン「なんつう驚き方だ、らしくないな。どうしたんだ?」 朝倉「え、その…」 キョン「お前の家はこっちじゃないだろ?」 朝倉「えーっと、なんて言うか……そう!涼宮さんに言われたのよ。キョン君の手伝いをして、ってね♪」 キョン「手伝い?あのハルヒがお前に頼んだのか?」 朝倉「そ、そうよ?だから手伝ってあげるわね。まったく…どうしてあたしがこんなことしなくちゃならないのかしら」 キョン「それはうちの団長がすまないことをしたな。俺のほうは1人でも大丈夫だから朝倉は帰ってもいいぞ?」 朝倉「そんなことできるわけないじゃない!」 キョン「ッ!?」 朝倉「あっ!…だ、だから。ほら、頼まれたことを投げるなんてあたしにはできないってことよ♪」 キョン「あぁ、そういうことか。なら手伝ってもらわないといけないな」 朝倉「そういうこと♪」 キョン「だが、もう買い物は終わっちまったからな。あとはうちまで荷物を運ぶだけなんだが、それでも良いのか?」 朝倉「ふふ、あたしが手伝うって言ってるでしょ?」 キョン「そうか。じゃあお言葉に甘えて…お願いしますよ、っと」 朝倉「はいはい♪」 キョン宅 キョン「ふぅ!すまなかったなこんな遅くまで」 朝倉「そんなの気にしないで(結局話せなかったまま着いちゃった…)」 キョン「じゃあうちまで送るから待ってろよ、家の中に荷物を置いてくるから」 朝倉「あ…いいのよそんな、1人でも帰れるわよ」 キョン「何か話したいこともあるんだろ?」 朝倉「!?」 キョン「表情に出てたぞ。だからちょっと待ってろ」 朝倉「うん……」 ・ ・ ・ ・ ・ 朝倉「……」 キョン「……」 朝倉「何か話したら?」 キョン「話があるのはお前だろ?だから俺からは何も話さないよ」 朝倉「……あの、その、クリスマスの話なんだけど…」 キョン「ん?やっぱり俺らのパーティに参加することにしたのか?」 朝倉「そ、そうじゃなくて……クリスマスを…その、」 キョン「?」 朝倉「あたしt」 谷口「よぉっ!キョン!!何やってんだこんなところで?」 キョン「なんだ谷口か」 谷口「なんだとはなんだ、失礼な。あれ?なんで朝倉と歩いてるんだ? まさかお前らwww」 キョン「そ、そんなんじゃねぇよ!なぁ朝倉?」 朝倉「(ズキッ)……」 キョン「朝倉?」 朝倉「……」 キョン「どうしt」 朝倉「触らないで!!!!」 キョン「!?」 朝倉「キョン君の、バカ!!!!!あんたなんかあんたなんか死んじゃったらいいのよ!!」グサッ キョン「グフッ」 朝倉「あなたも変なとこに現れないで!!!!」グサッグサッ… 谷口「ぐぼぁ」 朝倉「うわぁぁぁん……」 キョン「はぁはぁ、朝倉…今日はいつもに増して鋭さが違うな……谷口大丈夫か?」 谷口だったもの「……」 朝倉「ひっぐ…うっぐ……キョン君の、バカ!!キョン君の……ばかぁ!!!!!」 第7話 朝倉宅 朝倉「えぐ、うっ……もう知らないッ!キョン君なんか…キョン君なんかぁ……ふぇぇぇん」 長門「……」 朝倉「うっ…うっ……」 長門「カレー食べる?」 朝倉「うわぁぁぁぁん!!!」 長門「……そう」 キョン宅 キョン「なんだって朝倉のやつあんなに怒ってたんだ…?」 キョン「あいつ、そういえば泣いてたな……」 キョン「腹でも痛かったのか?」 第8話 12月24日 SOS団部室 ハルヒ「さぁて鍋も煮えてきたことだし、早速始めるわよ!!!」 古泉「盛り上がってきましたね」 みくる「おいしそうでしゅねぇ」 長門「……(ウズウズ)」 キョン「……」 ハルヒ「どうしたのよキョン、有希みたいに黙っちゃって。あんたなんか変よ?」 キョン「ん、あぁ。なんでもないんだ、さぁ始めようぜ」 朝倉宅 朝倉「結局、一人でクリスマスを迎えることになっちゃったなぁ…あはは……」 朝倉「さみしくなんか、ないもの……」 部室 ハルヒ「キョン!なんかやりなさい!!」 キョン「無茶振りすぎるだろ!」 「「あははは……」」 朝倉宅 朝倉「……」 朝倉「もうこんな時間…買い物に行こうかしら……」 部室 みくる「うーん、もう食べられないでしゅ……」 長門「…(ガツガツ)」 ハルヒ「有希もやるわね(ガツガツ)」 古泉「二人でババ抜きもいいですね」 キョン「楽しさが見出せんがな」 朝倉宅 朝倉「……」ガチャ キィー……バタン―――― 第9話 朝倉「綺麗な空……クリスマスにはいい夜ね…ふふ、あたしには関係ないか……」 部室 「「zzz……」」 キョン「みんな寝ちまったのか」 古泉「それでは二人しかいないことですし…」 キョン「な、なんだよ?」 古泉「ふふふ…」 キョン「気持ち悪いぞ」 古泉「高校生らしく、いわゆるぶっちゃけトークをしましょうか」 キョン「はぁ?」 古泉「ずばりあなたは誰が好きなんですか?」 キョン「お前は中学生か?」 古泉「僕も男子高校生ですからね。そういうことには一応興味はありますよ。で、誰なんですか?もちろん僕と言う選択肢もありますよ?ふふ」 キョン「黙れ。しかし…あまり考えたこともなかったな」 古泉「おや、彼女ではなかったのですか?」 キョン「誰のことだ?」 古泉「あなたといつも一緒にいる人ですよ」 キョン「朝倉のことか?」 古泉「あなた方はいつだって一緒にいたではないですか、ちょっぴり嫉妬してしまうくらいにね、ふふ。そのような感情があるからだと思っていましたけどね」 キョン「それは……」 朝倉『キョン君♪』 キョン「朝倉は……」 朝倉『じゃ死んで♪』 キョン「あいつは…」 朝倉『キョン君の、バカ!!』 朝倉『ひっぐ…うっぐ……キョン君の……ばかぁ……』 キョン「朝倉っ!?……」 古泉「?」 キョン「すまん古泉、急用を思い出した。ちょっと出てくる」 古泉「ふふふ、そうですか。こっちのことは任せてください」 キョン「すまん!」ダッ 古泉「クリスマスには何があるかわかりませんね……」 第10話 キョン「畜生!俺はバカか!?あんなにも朝倉は俺の側にいてくれたのに…朝倉はあんなにも俺とのクリスマスを望んでくれたのに……朝倉、どこにいるんだ!?」 朝倉「……」 キョン「朝倉!いるか!?」ドンドンッ キョン「家にいない?……どこへ、行ったんだ?」 キョン「くそっ…考えても仕方がない……その辺を探すか」 朝倉「……」 キョン「朝倉…どこだ!!」 朝倉「……」 キョン「朝倉ぁぁッ!!」 朝倉「…?今、誰かの声が……」 キョン「朝倉ぁぁぁぁぁ!!!!」 朝倉「やっぱり聞こえる。誰かしら?」 キョン「朝倉どこにいるんだよ……」 朝倉「誰…?」 キョン「朝倉ぁぁぁぁあぁあぁぁぁ!!!!!」 朝倉「え?キョン君!?」 キョン「朝倉ぁ…」 第11話 朝倉「キョン君!!」 キョン「ッ!?」 朝倉「……」 キョン「はは…公園にいたのか…はぁはぁ」 朝倉「……どうして?」 キョン「随分探したぞ?」 朝倉「ねぇ……どうして?」 キョン「どこに行っちまったかと思っt」 朝倉「どうして!!??今更何しに来たの!?」 キョン「朝倉…」 朝倉「涼宮さんたちと一緒にパーティしてればいいじゃない!こんなところに来る理由なんかないじゃない!!」 キョン「朝倉…」 朝倉「さっさと戻ればいいじゃない!!」 キョン「朝倉……」 朝倉「なによなによ!!あたしのことは放っておけばいいじゃない!!!!」 キョン「朝倉ッ………涙が、出てるぞ?」 朝倉「え……?こ、これは……」 キョン「随分待たせたな。すまなかった」 朝倉「別にあたしはここであなたを待ってたわけじゃないわよ……」 キョン「そうじゃないんだ………おまえの気持ちに気づくまでに随分と待たせてしまったな」 朝倉「……」 キョン「俺は極度の鈍感のようだな、はは…」 朝倉「…いわよ(ぼそっ)」 キョン「え?」 朝倉「遅いわよって……言ったのよ、ばかぁ……ふぇぇぇぇん……」 キョン「……」 朝倉「ばかばかばかばか……あたしを、ひっぐ、い、いつまで待たせる気なのよぉ……」 キョン「すまなかった…」 朝倉「ずっと、ずっと待ってたのに、っく、キョン君のこと…こんなにも好きなのに……キョン君のことが大好きなのに!!!」 キョン「俺もだよ…」 朝倉「……今、なんて……?」 キョン「俺も朝倉が好きだ…笑ってるおまえが、ナイフ振り回してるおまえが……いつも俺の横にいてくれるおまえが、俺は好きだよ」 朝倉「キョン君……うわぁぁぁぁぁあぁあぁぁん……ふわぁぁぁぁあん」 キョン「おいおい……泣き虫だな」 朝倉「えっぐ、うっぐ、本当に、本当にあたしのこと好き?」 キョン「あぁ大好きだ」 朝倉「よかった…あたしのこと、そんな風に考えてくれてるなんて思わなかったから」 キョン「そんなことないさ、その証拠にほら、これ」 朝倉「なぁにこれ?」 キョン「クリスマスプレゼントってやつだよ」 朝倉「え?」 キョン「ちゃんとおまえのために買っておいたんだ。受け取ってくれるか?」 朝倉「うん…」 キョン「じゃあ開けてみてくれ」 朝倉「……」パカッ キョン「サイズは多分合ってると思うんだが…」 朝倉「これって、指輪……」 キョン「はめてみないのか?」 朝倉「そうね。ふふ」 キョン「その指は…」 朝倉「この指にはめる意味がわかるでしょ?」 キョン「あぁ。どうやら俺は告白と同時にプロポーズまでしてしまったようだな」 朝倉「そうよ、あなたはこれからいつまでもあたしといることになったんだからね?ふふ」 キョン「一生俺はお前に刺され続けるって事か?」 朝倉「そのとおり♪」 キョン「やれやれ」 朝倉「キョン君、」 キョン「ん?」 朝倉「……メリークリスマス」チュ キョン「!?」 朝倉「あたしからのプレゼント♪」 キョン「もうくれないのか?」 朝倉「考えておいてあげる♪さぁうちに行きましょ、今日はクリスマスなんだからね♪」 キョン「ふふ、やれやれ」 朝倉「(サンタさん、最高のプレゼントありがとう♪)」 朝倉涼子のグサデレ ~クリスマス編~完
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あの日交わした貴方との言葉。あれは嘘じゃなかった。 貴方が抱いた期待。それも、嘘じゃなかった。 だけど、流れていた指令の中で、それは変わった。 言いたくないし、やりたくなかった。でも、仕方なかった。 「じゃあ、死んで」 その言葉から、全てが嘘になった。それが、私の ――過去形真実。 それはある木々も枯れ果てた冬のこと。 そんな私が、再構成された今日。新年の賑わいも去った冬のある日。 なぜか、冬だって言うのに雪じゃなくて雨が降っていた。 ここら周辺は冬場には雪が降るぐらい寒い。雨なんて降らないはずなのに。 地球温暖化のせいだろうか。 「はぁ・・・」 そんな事を考えながら私は、公園の遊び場から空を見る。 傘を構成できないかと考える。結果、無理。その権限さえくれないから。 だから、こうして遊具の中で雨を凌いでいる。 雨は凌げても、寒さだけは凌げない。なんて酷いもんだろう。 直接、雨には触れてないものの、雨が降ると普段より肌に感じる気温は寒い。 「・・・寒いよ・・・」 感情なんて無いのに、何故か凄く悲しいと思える。 優しさに包まれたってなんとも無いはずの私なのに優しさが欲しかった。 「キョンくん・・・」 自然と心が彼を欲する。 彼の笑顔が、何よりも見たかった。 エラー検出、等と出ているけどそんなものはどうでも良かった。 「会いたいよ・・・キョンくん・・・・・」 あの日、殺そうとした大好きな人。ずっと好きだった人。 長門さんが彼を好きになるよりももっと前から彼を好きだった。 それは今ではもう叶う事の無い夢。だって、ナイフを向けちゃったから。 許してもらってさらに付き合うなんて高望み。それ以前に、きっと許してはくれないだろう。 でも会って言いたかった。ごめんなさい。 私は、ただそれだけが望みだった。 「・・・・・!?」 だから、突然後ろから肩に掛けられたジャンパーの温かみが優しく思えて、すごくびっくりした。 普段なら、冷静で居られるはずなのに。 「寒いだろ、その格好じゃ」 彼が、微笑んでいた。 「・・・キョンくん」 「寒そうに震えてるなよ・・・ほら、ココア」 「ありがとう・・・」 封を開けると、湯気が暖かそうに上がった。一口飲むだけで、体が随分と温まる。 「ねぇ・・・私が怖く、ないの?」 「どんな奴であれ、寒さで震えているのを見て黙っていられると思うか?それが美少女であれば尚更だ」 「・・・ごめんね」 「え?」 「あの日、殺そうとしちゃって・・・」 「気にするな。過ぎた事はそんなに考えない方なんだ」 そう言って、彼は微笑んだ。 「・・・」 その笑顔に思わず涙がゆらりと揺れて、ぽろりと零れた。 止めようと思っても、止まらない。拭いても止まらない。 笑おうとすればするほど、余計に視界が濡れて滲む。 「朝倉・・・」 彼はそんな私をぎゅっと抱き締めてくれた。 「キョンくん・・・暖かいね」 「お前の体が冷えすぎてるんだよ・・・」 「そうだね・・・あはは・・・・・」 彼と、一緒に笑う。信じられないような、幸せだった。 今、この瞬間にしか、きっと気持ちを言えない。 そう思った私はぽつりと口を開けた。 「私ね・・・キョンくんのこと、ずっと大好きだった・・・」 「・・・朝倉?」 「だから、あの時・・・凄く辛かった」 彼は無言で私の顔を見つめる。 「殺したくなかった。だからね、長門さんに情報連結の解除をしてもらった時、凄く安心したの」 「・・・・・」 彼は、目を大きく見開いて私を見ていた。 まさに絶句。そんな言葉が似合うような表情。 「あはは・・・ごめんね、こんな話しちゃ―――」 「朝倉・・・俺も、お前に言いたかった事がある」 「・・・なに?」 「・・・好きだ」 「え・・・」 「俺は気付いてた。お前の笑顔は下手だったからな。凄く、悲しそうな顔をしていたのに気付いてた」 「キョンくん」 「それに、殺しに来ることも知っていたんだ」 「うそ・・・」 「手紙に使ってた紙。あそこに消しゴムで消された跡があったんだ。『大好きな彼を殺したくない』ってな」 「あ・・・!!」 次々と語られる真実。それはまさに、 「まさかの展開、だろ?つまりは行かなきゃいいのに俺はそこに出向いたんだ」 そう、まさかの展開だった。まさか、彼が知っていたなんて。 「でも、どうして・・・」 「お前になら殺されても良いかなと思った俺も居たのさ。何せ、始業式の頃から気になってたしな」 彼はそこで一呼吸をおいて、 「もう一回言う。好きだ」 そう言った。 「でも・・・私は・・・・・」 「昔の事を気にするな」 そうは言われても、私は不安で仕方が無かった。 「でも、いつまた貴方を殺そうとするか・・・」 そんな言葉に、彼は笑顔でこう言った。 「それでも、俺はお前が欲しい」 「・・・あ・・・あ・・・キョンくん・・・!!」 私は、彼の胸の中で、泣いた。 今が嬉しくて、昔が悲しくて、あの時が悔しくて。 「ごめんなさい・・・」 「・・・もう良いんだよ、本当に」 「キョンく・・・んふっ」 私達は、そっと口付けをし合った。 ・・・そして、 「キョンくーん!!朝倉さんが迎えに来たよー!!」 「今行くから待ってろよー!」 私達はこうして一緒に学校を登下校している。 涼宮さんには見付からないように。 長門さんにはバレないように。どうやってバレないようにしているか。 彼女に気付かれないように私が違うクラスに最初から居るように情報を書き換えたの。 情報統合思念体は、そういう情報は聞かれない限りは知らせる事はない。 こうすれば、彼女と出会わない限り気付かれる事は無くなるの。 「さて、行こうか・・・えっと・・・涼子」 「うん・・・」 手を手を繋いで、一つのマフラーを二人でつけて。 そんな普通の女の子のような生活がこれから始まる。 嬉しくて、彼にいつもよりもくっついた。 その頃、長門。 「朝倉涼子の幸せを私は願っている」 「・・・強くなったわね。でも、顔が泣きかけよ?」 「喜緑江美里・・・私は、泣いてもいいだろうか?」 「・・・ええ」 「・・・ぐすっ・・・うぅ・・・・・」 「有希ちゃん・・・」 「・・・ぐすっ・・・ん?」 「泣いてる顔もかあいいよー!お持ち帰りー!!」 「!!??」 「はぅ~!!かぁいい!!かぁいいよー!!」 「ちょっと、んふっ・・・ふぁっ!」 「感じてるの?耳が弱いんだー!!あははははは!!もっと舐めてあげる!!」 「やめ・・・んふっ・・・あっ・・・・・・・」 その頃の谷口。 「っ・・・やはり、岡部は強い・・・・・!!」 「ふはは・・・」 「地鶏家の長男・・・やはり、ベジータじゃなきゃ倒せないか!!」 「・・・呼んだか、谷口」 「!!ベジータ!!」 「仕方ない・・・ここは俺に任せるが良い・・・・・」 「なんだ貴様は・・・お前も、スーパーハンドボールキャノンの餌食になるか・・・?」 「ふっ・・・笑わせるな、虫けらが。必殺・・・ギャリック砲!!」 「な、なんだ、このエネルギーは・・・うわぁぁぁあああああっっっ!!」 「勝ったな・・・ん?」 「まだだ・・・まだ終わらんよ!!」 「た、タイガー蝶野に進化した!?」 「ここからが・・・本当の地獄だ」 「助けてやろう・・・ベジータ!!」 「お、お前は・・・!!」 「新川!!」 「ふははははは!!この超人デカマラ男たる俺が来たからにはもう安心だ!!」 「「(正直変態で来ても安心できねーよ・・・)」」